アキバ無差別殺傷事件報道に見る鳥越俊太郎らのいい加減さ
今週のテレビ報道は、本人の望みどおり、すっかり加藤某によるアキバ“テロ”事件一色になってしまった。その報道で鼻に付くのが、事件の原因は、派遣社員らの「希望格差社会」だ、という論調だ。
確かに加藤某は、派遣社員として、日本中を転々とし、彼自身もケータイの掲示板に、「将来への夢も希望もない」「所詮負け組みが勝ち組に勝とうとしたのが間違い」などと、書き込んでいる。それをもってして、ここぞとばかりに、「ほら、日本の格差社会は、こんなモンスターを生み出すまでになっているんだ」と言って、「こうした社会を作ったのは、派遣業の規制緩和だ!」と訴えている。テレビ朝日の朝の番組では、鳥越俊太郎が、「小泉構造改革が、今回の事件を生んだ原因だ!」と勝ち誇ったように言い放っていた。
確かに、派遣社員の置かれている境遇は、不安定で将来に希望が見えにくいことは間違いないし、大企業・経営者側が有利な雇用状況を改善する必要がある、という主張に異論はない。しかし、今回の加藤某の事件の原因を、構造改革の間違いに結論付けるのは、あまりに短絡的ではないか?というより、小泉改革や新自由主義を批判したいがために、今回の事件を格好の「材料」として利用しているだけのような気がする。
実際、ここ数日の供述では、加藤某は、地元・青森に戻った際に、運転手として社員採用されていたのを、一方的に自ら退職したことが明らかになっている。つまり、加藤の書き込みを引用して、鳥越ら、大マスコミが好んで解説していた「加藤は正社員になれず、派遣の不安感にさいなまれて凶行に追い詰められた」という論法は、成立しないのだ。
しかも、青森県の10~20代の求職中の若者のインタビューでは、「給与は低いが、職はあるし、正社員としての求人もある」という声が少なくない。
また、加藤は車のデザイナーになりたかった、という割には、そういったエンジニアなどの資格を取る努力をした形跡もない。そんな奴は、派遣業法改正以前の、バブル期にだって自動車メーカーが正社員として採用するはずはないに決まっている。あの男は、自らの怠惰を、社会状況にすり替えているだけにすぎない。
しかも、一部報道によれば、加藤は、スポーツカーを購入し、借金があったとも言う。そんな奴が、偉そうに「勝ち組」「負け組」だの言う資格があるのか。単に、あいつがアホで、未熟な「坊ちゃん」というだけに過ぎないのだ。
そういう事件の詳細を調べずして、鳥越ら大マスコミは、構造改革疲れしている大衆に耳ざわりが良い結論に導くため、今回の事件を、自らの都合よく解釈して、垂れ流してるだけではないのか?「格差社会が悪い」と、お高くとまった奇麗事を唱えることで、凶悪犯罪を引き起こした一人の「バカ」の責任を、希薄化する結果になっていると思わないのだろうか。
鳥越俊太郎は週刊誌出身のせいか、大衆受けする結論ありきで、事件や事象を伝えているのが、以前から気になっていた。愚民のアジテーターと化した古舘伊知郎ほどではないにしろ、「受ける」結論に導くため、事件そのものを冷静に見つめる「客観」を、最初っから放棄しているのではないか?そんな「大衆迎合報道」をやることが、来年から実施されるであろう裁判員制度を、誤った方向に導いてしまうのではと、危惧するのは、杞憂であろうか?大マスコミは、すこし事件に距離をおき、冷静に伝える、「オトナの報道」はできないのであろうか?
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